2015年11月15日日曜日

The Loo

「よし!やれやれ!やっちまえ!」
「思いっきりね~」
「わかってるって」
バァンッ!!
タマネギ「!?」
「・・・どうよ?中の様子は」
「ビビって飛び出して来ると思ったんだけどな」
「か細い声で『えぇ~・・・?』って聞こえてくる!」
「ハハッ!オイもう一回蹴るか?今度は3人で!」
「ちょっと何やってんのよ・・・」
「あきれた!子どもじゃあるまいし!」
「そんなに怒んなって。ちょっとしたお遊びだよ」
「面白いから一緒にやる?」
「誰がやるか!本当にアンタたちはもー・・・」
「「「「あ・・・」」」」
「・・・このオバサンがやったんだ」
「ちょっ・・・!?違う!違う!!」
「ほんと大人気ないよなー」
「あたしは止めたんだよ~?」


2015年11月7日土曜日

黒馬新聞

「あぁーマジでムカつく。あのアホアルゴニアン
「まだ言ってる」
「一度機嫌悪くなるとしばらくはこんな感じじゃん」
「やぁやぁ。ここにいたんだ。探しちゃったよ」
「どこ行ってた?」
「コレ買ってきたの」
「ピアス・・・?」
「イヤーカフだよ。かわいいでしょ」
「ふぅん。いいんじゃねえの」
「素っ気無いなぁ。どうしたの?」
「コイツこの前の件、まだ引きずっているから」
「もう忘れな。それよりハイこれ」
「・・・何?」
「黒馬新聞。ちょうど配っていたからもらってきたの。読んでごらん?」
「はぁ?ヤダよめんどくせぇ」
「本も大切だけど、最新の時事も知っておかないと。
 話についていけなかったり恥をかいたりする事もあるんだから」
「いよいよ本当にカーチャンじみてきたね」
「別にいいよ恥かいても」
「投書欄とか見てみな。色んな意見があって面白いよ」
「かったるいなぁ」
「えぇとなになに?
『私の知り合いのエルフの話だ』
『その人が最近、いい年なのにイヤーカフをつけてはしゃいでいる。ぶっちゃけキツい』
『長い付き合いだが、見ていていたたまれない気持ちになる。私はいつまで耐えればいいのだろうか』
・・・いやぁ大変だなぁこの人」
「機嫌直った?私は最悪の気分だからブン殴っていいよね」

2015年11月4日水曜日

First Edition その4

前回の続き…

「ハハッ、そんな事があったんだ。私も行けばよかったかな」
「たまには本屋に行くのもいいもんだぜ?」
「あの本屋には二度と行けないけどね・・・。あんた達を連れて行った私がバカだったよ・・・」
「わたしは悪くないからね~」
「やい、そこのエルフのメス共!」
 「さっきはよくもオレの穏やかな読書タイムを邪魔してくれたな!
 おまけに連れから膝蹴りのイイやつをもらっちまった。
 この落とし前どうつけるんだ?」
「・・・?何言ってんだコイツ?」
「あっ!書店にいた他のお客さん・・・」
「先程はウチの子達が大変失礼しました」
「なんだ”ウチの子”って。いつアンタが私らのカーチャンになったんだ?」
「まぁ親子って言ってもおかしくないくらい年離れているけどね・・・」
「ぷっ」
「何だコイツら?おい!ナメてんのか!」
「ナメてねぇよ!それにこっちは詫び入れたんだ。さっさと失せろ!
 さもないとその尻尾引っこ抜いて口に突っ込むぞ!」
(言い方もアレだし、一言多いんだよなぁ・・・。)
「ハッ!おい今の聞いたか?コイツには知性どころか品性の欠片もありゃしねえぞ!」
「もうその辺にしておけ」
「今なんて言ったこのトカゲ!」
「聞こえなかったか?何度でも言ってやらぁ!このアバズレ!」
「つーかよ、お前らみたいなエルフ見たことねえ。何処のもんだ!?」
「おい、いい加減にしないと衛兵がすっ飛んでくるぞ・・・」
「・・・テメェには関係ねぇよ!」
「ダンマーともボスマーとも違うみたいだな。大体何だその掴みやすそうな耳は!
 お前らの耳こそ引っこ抜いてやろうか!?
 全くエルフってのはどいつもこいつも何で変な耳してんだ?きもちわりい!!」
「なんだと?」
「あっ・・・」
「お前、オレの耳を見ていつもそんな事思っていたのか?」
「いっ、いや違うんだ。待て待て、お前の耳は違うぞ・・・?そう、そうだ!
 ハイエルフの耳はいい耳だなぁっていつも思ってたんだ!」
「耳の無いお前に耳の良し悪しがわかるのかよ?」
「いやいや、アルゴニアンにも耳はあるぞ!ほらここに耳孔が」
「その尻尾引っこ抜いてやる!!」
「ぅあああああ!!」
「何だったのアレ」
「あのアルゴニアンの顔、覚えたからな・・・」
「でもさ、アルゴニアンの顔って皆同じに見えない?」
「彼らも私達エルフを見て同じ事を思っているかもね・・・」

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何でファンタジー作品に出てくるエルフの耳って尖っているんでしょうね?
異世界の住人としての記号ではなくて、生物の機能としてちょっと気になる。
私は好きです。笹の葉みたいなエルフの耳。

2015年11月2日月曜日

First Edition その3

前回の続き…

アルゴニアン「俺としたことが思わず大声出しちまった。
         久々の休暇で帝都に来たってのに台無しにされた気分だ」
ハイエルフ「いやアレには俺も驚いたぞ・・・」
「散々騒いだ挙句、『アルゴニアンの侍女』を音読しだすとはな。イカれてやがる」
「恐らく帝都旅行か何かで浮かれていたのかもな?まぁそれにしても酷かったな」
「特にひでえのがあの目つきの悪いデコ女だ。くそっ思い出したらムカムカしてきたぜ」
「お、噂をすればなんとやらだ。あそこでたむろしてるのさっきの連中だろ」
「よし見ていろ。俺が一発ガツンと言ってきてやる」
「はぁ?止めておけ」
「ムカついてんだよ!人様が静かに本を読んでるところを邪魔しやがって!」
「あいつらは今回の件でファースト書店は出禁だ。それで十分だろう」
「ははぁ~、さてはテメェあんなのが怖いのか?怖いんだな?」
「おい何を言って・・・」
「テメェはハイエルフなんかじゃねえ!チキン野郎だ!コケー!!」
「そうじゃなくてオレが言いたいのは・・・」
「ブルってんじゃねえよ!コケーコッコッコ!クワックワッ!コケコッコー!コケー!!」
「コグェッ!?」
「よく聞け?オレが言いたいのは面倒なトラブルは御免だって事だこのトカゲ野郎」
「うぅ・・・イテェ・・・これも全部あいつらのせいだぞクソが・・・今に見ていろ・・・」

続く…

2015年11月1日日曜日

First Edition その2

前回の続き…

「もう本当に静かにしてよね?怒られちゃったじゃん」
「わかったわかった。悪かったよ」
「それにしてもよ、コレだけの本を全部便所の落とし紙にしたらどれくらいもつんだろうな?」
「ちょっと何てこと言うの!」
「こんな分厚い本読んだら頭おかしくなっちゃうな~」
アルゴニアン(もうお前らおかしいと思う・・・)
「まったく、コイツら連れてきたの間違いだったかな・・・って何見てんのよ?」
「そのメガネってさぁ、老眼鏡?」
「アハッ」
フィンティアス「そんな物騒なモノ店の中で振り回さないでくれ!」
                    :
                    :
「どした?つまらなそうな顔してよ」
「だから本キライって言ったじゃん。もう帰っていいかなぁ?」
「じゃあ私が面白い本を探してやるよ」
「コレなんかいいんじゃね?それでな、ここを音読してみ?」
「声に出して読めばいいの?」
「そうそう。大声でな」
「さっきから静かと思ったら熱心に何読んでるの?」
「よしやれ!」
『掃除だと?それでは俺の槍を掃除してもらおうか?ほら、俺の槍を磨け』
「ダハハハハハハ!!」
「何読ませてんだーっ!!」
『とても大きすぎます!一晩中かかってしまうかもしれません!』
・・・ねぇ全然面白くないよコレ?」
「ハハハ、私は面白い。ほら続き読めよ」
アルゴニアン「テメーらさっきからうるせーよ!!」
フィンティアス「あんたら頼むからもう出て行ってくれ・・・」

続く…